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7.インスリンの種類と効き方 |
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1)インスリン注射のイメージは?
皆さんはインスリン注射についてどのようなイメージをお持ちでしょうか?
インスリン=糖尿病が重症! インスリン=一生もの! インスリン=面倒くさそうだし、痛そう! …etc。色々なイメージをお持ちかと思いますが、これらは全く誤った認識です。
糖尿病の重症度とは、合併症の程度によるものです。また適切な時期にインスリンを始めることで、血糖コントロールが改善し、インスリンから離脱する方も多くいます。
現在では携帯に便利なペン型の注入器が一般的で、最近では見た目にもオシャレな品も出ています。使い方は、小さなお子さんでも簡単に自己注射ができる程、簡単です。注射時に使う針も普段皆さんが病院で目にするような針とは違い、極細になっていますので痛くありません(図1)。
図1 ペン型インスリン注入器
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2)健康な人のインスリン分泌パターンは?
『インスリン』とは、膵臓から分泌されるホルモンで血糖を下げる働きがあります。健康な人では、常に少しずつ出ている“基礎分泌”と、食事で血糖値が上がった時にすぐに出る“追加分泌”があります。この働きにより血糖を調整しています(図2)。
糖尿病の人は、この『インスリン』の分泌量が少ない、又は、充分に分泌されていても効きにくい状態にあります。前者をインスリン分泌不全、後者をインスリン抵抗性と言います。基本的にインスリン注射は、インスリン分泌不全を補うことにより血糖を良くする治療です。
図2 健康な人のインスリン分泌パターン
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3)どのような場合にインスリン注射が必要なのでしょう?
以下の場合、インスリン注射が必要になります。
〔1〕糖尿病の内服薬を最大量投与してもHbA1cが8%以上
〔2〕肺炎や足の壊疽など感染症を併発した場合
〔3〕脱水症に伴い著しい高血糖をきたした場合
〔4〕ステロイド治療を行う場合
〔5〕1型糖尿病
〔6〕妊娠糖尿病
4)インスリン製剤について
糖尿病治療に使われるインスリンの種類として、その働きにより3つに分類できます(表1)。
第1は、“基礎分泌”(常に少しずつ出ている)の働きをする「中間型」、「持効型」があります。
第2は“追加分泌”(食後の血糖の上昇に伴いすぐに分泌)の働きをする「速効型」、「超速効型」があります。
第3は“基礎分泌”と“追加分泌”の働きを混ぜ合わせた「混合型」があります。「中間型」、「持効型」、「混合型」は朝・夕の2回注射する場合が多く、「速効型」や「超速効型」は各食前に注射します。
表1 インスリン製剤について
働 き |
分 類 |
商品名の例 |
@常に少しずつ出ている”基礎分泌”の働き |
中間型 |
ノボリンN イノレットN
ヒューマリンN ヒューマログN |
持効型 |
ランタス レベミル |
A食後の血糖の上昇に伴い分泌される”追加分泌”の働き |
速効型 |
ノボリンR イノレットR
ペンフィルR ヒューマリンR |
超速効型 |
ノボラピッド ヒューマログ アピドラ |
B”基礎分泌”と”追加分泌”の働きを混ぜ合わせたタイプ |
混合型 |
ノボラピッド30ミックス ノボラピッド50ミックス ノボラピッド70ミックス
ノボリン30R ノボリン40R ノボリン50R
イノレット30R イノレット40R イノレット50R
ヒューマログミックス25 ヒューマログミックス50
ヒューマリン3/7 |
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5)インスリン治療の開始
インスリン導入に入院は必要ありません。外来で十分に開始できます。インスリン治療を受け入れられず、抵抗を持つ方は少なくありません。しかし冒頭でも述べましたが、心配するほどインスリン治療は大変ではありません。
インスリン療法で血糖コントロールを良好に保つと、糖尿病による合併症のリスクを減らすことができます。血糖コントロールが良好であれば、糖尿病を持っていない人と同じQOL(生活の質)を保つことができます。
6)インスリン治療の実際
インスリン注射の回数は、各人の病態や生活に合わせ1日1回から複数回(2〜4回法)と多様です。
食事や運動が、インスリンに束縛されるような印象を持つ方もいるかもしれません。しかし、各人の生活様式に合わせたインスリンの量や回数の調整も可能です。この場合は糖尿病専門医にその方法を相談することを勧めます。
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